牛田吉幸著『名古屋の富士山すべり台』

今月の課題図書はこちら。こういう超ウルトラスーパーニッチな本はたまりませんねえ。武田邦彦先生主宰の『情報の会』メンバーのインタビューも掲載されている。

一般には知り得ないこのような情報を皆で共有しようというのも情報の会の特徴である。いつか著者の富士山すべり台(正式名称・プレイマウント)の情熱あふれるお話を聞いてみたい。

子どもの頃に何気なくすべっていたあの富士山すべり台。公園ごとに個性があって、その違いを著者が嬉々として語っていて何だかこちらも面白い気持ちになってくる。

何でもそうだけれど、面白いものは自分で見つけていくものだなと。「人生がつまらない」と感じている人は、自分の気持ちがつまらないのではないか。

何でも基礎が大事

著者は大人になってから名古屋中の公園を駆け回り、本になるかどうかもアテのないまま調べ回ったのだろう。この打算抜きで好きなことにかける情熱。たまりませんねえ。

子どもは大人の想像を超えた危険な遊びを思いつくものです。リスクを承知でチャレンジすることは成長に必要でしょうが、予測不可能なハザードは取り除かなければならない。

富士山すべり台の歴史は昭和から続いているのにも関わらず、大きな事故はまだ報告されていないらしい。公園の遊具として大変優秀ではないか。

2018年、当時4歳の娘がすべり台から転落して上腕を骨折、4時間にも及ぶ手術をしたことがある。

骨を折ってもギプスのまますべり台を滑る娘。いいぞいいぞ!

実はこのときも、著書内の方から事故状況の聞き取り調査があった。こうやってハザードを一つでも取り除いていこうという関係者の姿勢に頭の下がる思いである。

しかし、あまりにハザードを取り除き過ぎると逆につまらなくなってしまうこともある。そのあたりのバランス感覚が難しい。昔の公園の方がもっと自由で遊べることは多かった(その代わり危険は今より多かったか)。

補修すると、最初にちゃんとつくるのが重要だとよく分かる。

何でも基礎が大事

これはキックボクシングにも通ずる。最初の構えや身体の基本的な動かし方をちゃんと教えることで、将来の怪我の可能性をだいぶ低くすることができる。

我流だと自分のやりやすいようにしか動けない。そうなると自分の想像の中の動きしかやらないので、技のレパートリーも限定され、いずれ実力は頭打ちになる。つまり飽きてしまう。

基礎さえしっかり作っておけば、どんどんやれることが増えていく。つまり面白い。だから飽きない。運動を続けられる。健康に近づく。ぱっと見面白そうな応用にいきなり飛びつくのではなく、じっくりと基礎を築いていこう。

富士山すべり台を見かけたら、そのディティールをくまなく見てみよう。そして頂上から滑ってみようっと。

明るく生こまい
佐藤嘉洋