ドラマ『全裸監督』シーズン1

一流の役者が集まって、それぞれ本気の演技をするとこんなに面白くなるのか。
何度か巻き戻して、役者の表情の変化などを楽しませてもらった。

ヤクザの古谷伊織(國村隼)のどん底時代に見せていた表情と、子分を多く引き連れるようになったときの表情の差など、小膝を打ちたくなる演技力である。

いやあ、プロの役者は、当たり前だけど全然違うわ!

大杉漣さんの遺作で一瞬だけ共演させていただいた

2017年に大杉漣さんの遺作に出演したが、本当に三文芝居でお恥ずかしい限り。
もしもまたこのようなチャンスをもらえるならば、前回よりはマシな演技をしたいものである。

人生は筋を通しておいたほうがいい

全裸監督は、出てくる全員の演技が大変面白い。
特に個人的には、社長(玉山鉄二)のそれとなく見せる変態性が好きだ。

シーズン1全編を通して勉強になったのは、

・人生は筋を通しておいたほうがいい

(何を持って善か悪なのかよくわからないが)善でも悪でも、である。

・信念から外れるようなことはしない

もしあなたに信念がないのであれば、信念のある人から学べばいいと思う。

ドラマ内の村西とおる監督(山田孝之)や、トシ(満島真之介)との関係。
そして彼らとヤクザの古谷伊織(國村隼)との関係。
トシはどうしようもないヤツかもしれないが、私は、後半の彼には大変な感銘を受けている。
トシ自身の中にある村西監督や古谷親分に対する筋はすべて通していると感じたからだ。

そして村西監督、トシ、古谷親分の3人の信念は格好良かった。

トシの「後悔するぞ」の言葉に、村西監督の「もう後悔してる」の返答には、

痺れちゃいましたねえ!

他人の罪に怒り打ち震える人へ

このドラマにはピエール瀧、リリーフランキーも出演していて、私の中で最悪の映画『凶悪』を思い起こさせた。
この2人の演技は本当に最高だ。
人間、生きていれば数々の過ちを犯す。
私だって偉そうなことを言える人間ではない。
綺麗な部分もあれば薄汚れた部分もある。
だから、ピエール瀧さんにはぜひともがんばってほしいのだ。
犯した罪を胸に抱きしめながら。

一流の役者は犯した罪さえも演技力に昇華させる

と勝手に期待している。

沢尻エリカの『ヘルタースケルター』の感想文でも書いたけれど、自分には直接的に関係のないところで怒り狂う人が一定数いる。
その怒りの本心は、自分も本当は罪を犯したいのに我慢して節制を保っているからではないだろうか。
心の綺麗な人は、そもそも罪を犯さない。
だから他人の罪に対して、あれこれ怒ることもない。
遠く離れた他人の罪に目くじらを立てて怒りに打ち震えている人は、今一度薄汚れた自分自身の心を見つめ直し、反省してみてはどうか。
少しは寛容になれるかもしれない。
怒りに乗っ取られた無駄な時間を過ごすより、楽しいこと・面白いことを考えていた方がいいと個人的には思っている。

明るく生こまい
佐藤嘉洋