大泉洋、柳楽優弥出演『浅草キッド』

ビートたけし役、柳楽優弥の演技力。
これだけでも観る価値有り。
役作りのための血の滲むような努力が伝わってくる。

師弟愛

自分よりも才能ある弟子を潰すこともできただろう。
しかし、ビートたけしの師、深見千三郎(大泉洋)は違った。
意固地な自分の元を去っていった弟子を、それでも愛していた。

この言葉が思い浮かんだ。

佐藤嘉洋のキックの師は一人

以下、佐藤の独り言です。

私は14歳から34歳まで、一人の師の元で育ち、全うした。
キックボクシングからK-1に行くとき、一度は離れようとしたが、話し合い、妥協点を見つけた。
ただし、裏切った事実は覆らない。
受け入れて生きていくしかない。

小森次郎会長は滅多に私を褒めなかった。
他の同期たちは試合に勝つと褒められたが、私は勝ってもダメ出しの方が多かった。
KO勝ちして喜んでマイクアピールして、「発言がなっていない」と反省文を書かされたこともある。

2003年、ルンピニースタジアムの現役王者から完封勝利を収めたとき、「今回の勝ちは認めざるを得ない」と帰りの新幹線でグリーン車に乗せてくれた。
「なぜ自分は結果を出しても怒られてばかりなのか」と思うこともあったが、会長が私に求めるレベルは、それほど高かったということなのだろう。

引退するとき、もっと戦わせようと思えば戦わせられたはずだ。
それでも会長は、自分の懐よりも私の身体を心配し、結果的に最後となった試合でKO負けした後、「初めて辞めた方がいいと思った」と言われた。
「もういいぞ」と肩を叩いてくれた気がした。
自分も「いえ、まだやりたいです」と即答できなかった。
ということは、限界を感じていたのだろう。

自分はひょっとしたら、会長の喜ぶ顔が見たくて戦ってきたのかもしれない。
ファイトスタイルも、会長が理想とする戦い方をしてきた。
引退後は、自分が思う理想のスタイルでキックボクシングを構築している。
自分なりに守破離返を実践しているつもりだ。

明るく生こまい
佐藤嘉洋