しかし安藤サクラは名女優だなあ。
しかも、リリーフランキー、樹木希林までも共演だなんて私好み過ぎる。
内容は名前の通り、万引きを共通項にして集まった家族(血の繋がりはない)の物語。
良心が僅かながらに残っている少年と、リリーさん演じる父親役(血の繋がりはない)の男が、真の絆で結ばれるチャンスを失ってしまったシーンが一番印象的だった。
ずっと「お父さん」と呼ばれたかった男は、結局最後まで「お父さん」と呼ばれず、「おじさん」のままだった。
そのチャンスを逃し、いや、自ら背を向けて逃げたのも本人の人間性そのもの。
悲しいかな、この男に父親を名乗る資格はなかったということだ。
その少年はバス乗り場で「おじさん」と別れたあと、車内で「お父さん」と誰にも聞こえない声で呟いたように見えた。
ひょっとしたら彼もまた、その男を「お父さん」と呼びたかったのではないだろうか。
家族と一緒に見た
この映画は家族と一緒に見た。
息子に見せるには少々刺激の強すぎる映画だったかもしれない。
ハッピーエンドでもない。
人間の薄汚い部分も出てくる。
でも、これはこれで良い経験になったのではないだろうか。
世の中には色々な環境があって、色々な家族がいる。
自分たちとは違う人生、相容れない人生、真似するべきでもない人生を見ておくことは、視野を広げるキッカケになる。
まあどうせ、アイツのことだから、安藤サクラとリリーフランキーの濡れ場しか記憶に残っていないのではないだろうか。
なんせ私の子供だからね。
私はキックボクシングという夢中になれるモノを若いうちに見つけられた人生で本当によかった。
中学生のとき、人の道を外していた時期があった。
キックがあったから踏み止まれた。
また、道を外していたのが表に出たとき、父親に泣きながらボコボコにしてもらったおかげで踏み止まれた。
体罰はもちろん避けた方がいいけれど、私の場合は今となっては大変感謝している次第である。
あのときの父親の涙はトラウマになっているし、自分の罪は一生消えない。
ずっと後悔しながら生き続けるのである。
私は清廉潔白な人間ではない。
非寛容で偉そうなことは一生言えないのである。
明るく生こまい
佐藤嘉洋