可愛いネコにゃんのジャケットに惹かれ、ふと手に取ってみた映画。
再生してみてびっくり。
主演が今年2018年に急逝された大杉漣さんだったからだ。
恐れ多くも大杉さんの遺作に出演させてもらったことがある。
初めてのドラマ出演で、このような一流の役者の前に立ってセリフを言わせてもらったのは身に余る光栄といえる。
そしてまた、自分がキックボクシングで実績を残してきたからこそだと、改めてキックボクシングに感謝した。
ドラマ撮影はとにかく待ち時間が長い。
大杉さんはマネージャーに頼んで、脇役の私たちに差し入れをくださった。
成功する人間には配慮がある。
自分自身とても嬉しかったし、勉強にもなったので、このような行為を連鎖していこうと心がけている。
人から聞いた話だが、大杉さんは下積み時代が長かったらしい。
私も同じだった。
キック一本ではなかなか暮らせなかった。
だからそこそこ稼ぐようになってからも、生活レベルを変えることはなかった。
結果的に、旧K-1が潰れたときに大して金銭的に困らなかったのは、金銭感覚をそれほど狂わせていなかったことによるところが大きい。
さて、映画はリストラで首を斬りまくる大杉漣扮する人事部長が、捨て猫を拾ってほんの少しだけ変わっていく話。
しかし、これまで非情に首を斬られた人たちが救われることはない。
子猫によって、優しい気持ちを取り戻したところで、過去に買った恨みは残ったままだろう。
本当の真意は映画の中で明かされてはいくのだが、首切りを食らった本人たちには関係のない話である。
主人公もそれを覚悟していたからこそ、コーヒーを頭からかけられても何もやり返さなかったのだろう。
社長の命とはいえ、辛い仕事だなとは思う。
心を鬼にしなければできないだろう。
しかし、私がもしも社員の首を切るなら、部下に任せずに自分でやる。
大企業になればそんなことは無理なのはわかっている。
だが、「自分の実力不足でどうしてもあなたの給料は払えない。本当に済まなかった」と自分の非を詫びて頭を下げるべきだ。
それが責任というヤツだ。
仕事や上司に対して忠誠心のない社員も多くいるだろう。
その感覚は私にはない。
自分で選んだ仕事、巡り合った上司である。
自分の納得のいくまで、忠誠を誓った人生のつもりだ。
考え方が違うのは当たり前だ。
しかし、自分とは違う考えだったとしても、それに従うのが部下の役目だ。
もちろん自分の考えを述べるのはいい。
それが組織の活性化に繋がる。
しかし、上からの指示には、下の人間は従わなければならない。
全員が好きなことをやって仕事をしていては社会は成り立たない。
私のプロキックボクサーの現役期間中、対戦相手の提示に対してNOと断ったことは一度もない。
なぜか?
そういうファイターがカッコいいと思っていたからだ。
それを貫徹できてよかった。
おかげさまで、私は自分のことが大好きです。
明るく生こまい
佐藤嘉洋
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