妻抜きで子供2人連れて沖縄に行ってきました。実は出発数日前に、妻が倒れてしまいまして。
本来ならば入院していなければならないところ、救急車を呼ばずに這って病院に行ったものだから、そのまま通院生活を余儀なくされてしまいました。
毎日点滴を打たなければならないとのことだったので、もちろん旅行はキャンセル。しかし子供たちは、年に1度の沖縄を心から楽しみにしている。
昨年の沖縄旅行から帰って、ずっとである。
ストレスの元凶は、子供となかなか家にいない夫のせい。これは我々が彼女から遠ざかることが一番の療養になるのでは……と。
子供たちには事情を話した。
・母抜きの旅行になること
・父は母のように至れり尽くせりではないこと
・全員イライラしたりすねたりしないこと
家を出発する前に、子供を2人並べてしゃがんで声をかけた。
「イライラしない。すねたりしない。みんなで楽しい旅にしよう。お母さんにはいつでも電話で話せるから」
やや不安そうな娘と、話を聞いていないフリなのか本当のバカなのかわからない息子。
3月とはいえ、夜明け前はまだまだ冷え込む。外はまだ薄暗い。
まあなんとかなるか。
私は子供2人を乗せて、名二環から伊勢湾岸道、知多半島道路に乗り、妻抜きの3人でセントレアへと向かった。
佐藤嘉洋 / Yoshihiro Sato 1981.1.25
佐藤綜亮 / Sosuke Sato 2010.1.9
佐藤桃香 / Momoka Sato 2014.7.1
妻抜き初日
無事に沖縄へと到着。レンタカーに乗ってホテルに向かうのだが、時間もあるし高速に乗らずに下道からのんびりと。
沖縄のこの道を走っていると、パスポートも要らず、2時間ちょっとで行けて、ハワイにいるみたいな感覚に陥る。
*
ホテルに到着して車をボーイに預ける。昔から観光名所には興味がない。基本的に出不精で運転嫌いの私である。結局チェックアウトまで1度も車に乗ることはなかった。
寝不足だから昼寝させてくれと子どもたちに頼んだ。プールサイドのベッドで寝てていいから、俺たちをプールに連れて行けと息子が言う。妹もうんうん、といった感じ。
1時間寝かせてくれると言ったのに、ようやく眠りに落ちたかと思いきや「1時間経ったよ」と水浸しになった自分から垂れる滴を拷問のようにポタポタと垂らしてくる息子。
時計を見れば、5分くらいしか経っていない。それを何度か繰り返され、私は余計に疲れて目の奥がゴロゴロして大変不快な、自称『目がコロリンチョ』状態になってしまった。
夜飯はホテル内についている寿司バイキングの無料券があったのでそこへ突撃。寿司は無料だったが、値段も見ずに頼んだ生ビールが大した量でもないのに1000円もした。
でた〜ホテル価格。
妻抜き2日目
夜中に娘のトイレで何度か起こされたものの、おねしょをされるよりは100倍マシである。世の母たちは、子供が産まれてから毎日これを繰り返していると思うと気が滅入るだろう。そりゃストレスも溜まるわなあ。
*
ここのいいところは、ホテル内ですべて完結できるところである。飯も全部中で済ませられるし、子供の楽しめるイベントも数多くある。
2015年に初めてここを訪れてから、毎年訪れている。家族全員で気に入っているのが、朝食のオレンジの生絞り。
息子はフルーツがまったく身体に受けつけず吐いてしまう。もちろんここのオレンジも食べられないのだが、絞るのだけは好きだ。
ちなみに2年前は、絞り器を支える私の手を、合図を出す前にガチャンと下ろすものだから、指を絞られて大変痛い思いをした。
毎年オレンジを絞りに行く度に
「お父さんの手も絞ってやろうかあ? うぇへへへえ」
と毎回脅してくる息子のしつこさは私譲りである。
夕食を終えたあとロビーに出ると、なんとピアノの生演奏が。私は昔からこういうのに感激するタイプで、それは息子も同じようだ。しかし妻はあまりこういうのに興味はなく、娘は早く部屋に帰りたがっていた。
遺伝ってすごい。
演奏終了後、演奏者のお兄さんが脇でひっそりとまかないを食べていた。
「とても感動しました」
と伝えにいった。
自分のちょっとした勇気だけで、誰も損せずに誰かを喜ばせることができる。良いものは良いと、その人に伝えられるような勇気のカケラを積み重ねていきましょう。
妻抜き3日目
娘は、初めてナマコを見てからナマコに大変夢中である。今年も結局、滞在中はほぼ毎日ナマコを見に行った。この日はケーキ作りをしたり、船に2回くらい乗ったり、自分の中では、なかなか行動的な1日を過ごせたのではないだろうか。
夕食は毎年行っている近場のイタリアンへ。いつもは妻と一緒なので子供の手間は半分だ。しかし今年は、そこそこ高級なイタリアンで私が一手に子供の面倒を見なければならない。
おいしいオレンジワインは飲めたが、あまり長居し続けるのは憚(はばか)られたので1時間弱で退店させてもらった。
妻抜きで子供と食事を摂る機会はあまりない。ましてやそこそこ高級な店では、私の親スキルではちょっと難しい。
「世のお母さん、毎日お疲れさまです。感謝」
と、文だけ書いてみます。多少心は込めているつもり。
そしてホテルへ戻り、沖縄民謡のライブを3人で楽しんだ。
妻抜き最終日
最終日はホテルをチェックアウトしてから一路、美(ちゅ)ら海水族館へ。ここはダントツで日本一の来場者数を誇る水族館である。ちなみに我が地元の名古屋港水族館は、日本第3位と健闘している。しかし美ら海水族館の立地の悪さを鑑みると、2位の大阪海遊館と比べても美ら海水族館の来場者数は際立っているといえる。
5年ぶりに訪れたが、周囲がリゾート化していて、とても環境が良くなっているように見えた。入場料を払って水族館本体に入らなくても、1日くらいは充分に楽しめそうな作りになっていた。
近くのビーチの砂浜は珊瑚だけで成り立っていて、寝転がっても砂がつくこともなく、天然のベッドのような感じで快適だった。
ずいぶんとのんびりとしてしまって、しかも売店でもソフトクリームをのんびりと食べてしまった。たまにポッカリと時が止まるときがある。
「お父さん、時間大丈夫?」
と息子が何度も聞いてきた。お前みたいなやつが意外と時間にだけはきちんとしてるんだな、と感心しながら「大丈夫大丈夫」と私は返した。
が結局、渋滞にもあってギリギリになってしまった。しかも現場で確認したフライト時間も間違えていて、チェックインしたあとに売店でまたのんびりとしてしまい、館内放送で呼び出される始末。
なんということだ。
しかしながら出発10分前には機内に乗り込めたので良しとしよう。
内心結構急いでいた車中のBGMは夏川りみの『忘れてはいけないもの』。
忘れてはいけないもの。はい、フライト時間です。
それでも私は働くよ
子ども2人と家のことは何にもできない父。妻抜き3人沖縄珍道中 in 2019 は、私たちにとって、とても良い経験になった。また、子どもと父との絆も深まった……ような気がする。
父力も多少は高まった……ような気もする。
子どもたちも妻がいないなりに、旅行前の約束をがんばって守ろうという姿勢はうかがえた。
そして妻の苦労も、1ミリくらいはわかったかもしれない。
いいかい。
「1ミリくらいは」で「わかったかもしれない」だ。
どこまでいっても、私は妻の代わりになることはできない。
忘れてはいけないもの
今月皆さんに見てもらいたい動画はこちらです。
これは元々コブクロの歌なのですが、
「りみさ~ん」
と、つい声をかけたくなってしまうカバー曲の逸品です。どうぞお楽しみあれ。
明るく生こまい
佐藤嘉洋
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